お弘法さま巡りは楽しい

 弘法様は何処の集落でも大切に祭祀されているので、近くの人に聞けばすぐに教えてくれる。この日も森山町唐比の休屋で楽しい一時をすごした。(03/06/2002)


(ばあちゃん、お茶バくれんね)

 唐比の集落に入って、少し時間に余裕があったので旧251号線に降りて「この辺りに五十六番札所が有ったはず」と思いながらウロウロ。旧国道沿いに一軒のお宅があり、ご主人が庭仕事をしていた。

 「すみません。お尋ねします」と声をかけ、この辺りに「おこぼさん」が居ませんか?と訪ねると

 「おこぼさんナ、唐比にナンボでもある」とのお答え。いやいや歯切れの良いお返事だ。そこで「諫江八十八ヶ所霊場の弘法様」巡りをしている旨の話をすると

 「そん、おこぼさんナラ、ついてキンシャイ、案内しちゃる」と、旧国道脇から昔の殿様道(とんさーみち)に降りていく。その道々の話が楽しい。

 「こんあたりは、とんさーの休み場所が有って蓮の花の見物をしたゆうが、わしは違うと思う。コン高さから花バ見てもつまらん。あそこにゴロンバいう字が有るが、ゴロンバいうは「ご覧場」のことじゃ思う。あそこからなら花がよう見えたチ思う」


(殿様道からゴロンバを望む)

 写真に四角く緑が見えるが、あの辺りであったとご主人は言われる。なるほど土地の人のご意見だ。あの辺りなら高さといい、ちょうど良い見物場所のように思える。興味をそそられる楽しい話を伺いながら、五十六番札所の弘法大師像の前に出る。ゆっくりお参りを済ませて、また殿様道を登っていく。

 車をお宅の庭先に停めさせて頂いていたので、一緒に戻ると「ばあちゃん、お茶バ」と声を掛ける。

 「こん、若いシは、おこぼさんにお参りに来てくれたと」と、奥様に紹介してくださる。美味しいお茶と漬物を頂いて、「虎御前」の話や、水晶観音の「ごいんげさん」の話などを伺って楽しい時間を過した。

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