五家荘「左座家」の観月会

 いつもの石橋探訪で家内と二人、熊本の緑川水系を訪ねた。さて今夜の宿は何処にしようかと石匠館で尋ねたら、五家荘の宿の一覧を見せてくれた。敬老の日を控えた連休だから飛込みでは難しいかと案じていたが「今日は観月会だからお出でなさい」との返事。以前から尋ねてみたいと思ってた「五家荘」だ。早速東陽村を後にした。(09/13-14/2003)

御当主が捧げて祈るお供え物

 東陽村の石匠館から、国道443号線を氷川ダム入り口まで走り、泉村役場を過ぎて県道54号線で「せんだん轟」経由、約1時間で今夜の宿「左座荘」に到着。左座荘の向かいが観月会を催す菅原道真公ゆかりの「左座(ぞうざ)家」となる。さっそく見学と思い左座家への石段を登る。

お供え花コンテスト入賞者記念写真左座家に代々伝わるお月見作法左座家に代々伝わるお月見作法(三度回る)

 ちょうど左座家のお庭では、参加者が15:30から付近散策をして採集した秋の草花で活けた「お供え花」の審査・表彰が行われていた。上段左の写真は入賞者に御当主も入っての記念撮影。花器まで手造りの素晴らしい作品ぞろい。

 御当主からの礼拝作法や謂れの説明によると、お供え物を頭上に捧げ右廻りに三度回りながら、三度月に祈る。その間に月に祈ると願いが叶うそうだ。私も家族の健康を祈った。

大宴会庭からの様子綱引きの開始

 礼拝の後は宴席となる。なんと我々も席に案内された。山女の甘露煮・刺身、山菜やオコワ、オハギに煮物等々とテーブルにいっぱいのご馳走。もちろんお神酒の後はビールに焼酎と歓待をうける。地元の方から明日の観光のアドバイスを戴いたり、昔話をうかがったりと楽しい時間をすごしていると、「綱引きだよ!」とのこと。

 「豊作祈願や占いですか?」とうかがうと「ただのお遊びだよ」との答えが返ってきた。月見に限らず、様々な行事の折に綱引きをするそうだ。南北に分かれての綱引きも地域に関係なく、宰領の指示で振り分けられる。もちろん我々夫婦も参加したので写真は宰領の説明のカットだけでご勘弁。久しぶりに力一杯綱を引いて楽しい時間をすごせた。本来の観月会はこれで終了だが・・・・・

 月を見てないぞ??

囲炉裏を囲んで鹿肉の刺身!!月齢18日の月の出

 今夜の宿、左座荘の囲炉裏端で二次会?を開きながら月の出を待つ。おにぎりを見せているのは、遅れて参加のFM八代のお嬢さん方。昨年取材して感激したとかで、本日はプライベートで参加とのこと。

 真ん中にドンと写っているのは鹿の刺身。焼酎がすすみます。すっかり酔いが回ったので、お風呂を戴いてから床に就く頃に月が出た。今日の旅の宿は、大満足!!

【メモ】

民宿・食堂「左座荘」 熊本県八代郡泉村仁田尾65 0965−67−5466

秘境 泉村の探索  泉村役場ホームページ

本日の宿泊費 4,000円(一泊朝食)夕食+晩酌は観月会でお世話になって無料・・・・・  感謝!!

*菅原道真公ゆかりの左座家

 ぞうざ家と読む。菅原道真公は大宰府左遷(901年)の後死去。道真公には二人の男子があり二人とも立派に成人したが、藤原氏の追討を受ける立場の二人は筑前の地から逃れ、兄宰相は左座太郎と名を改め、現在の柿迫から笹峠を越えた奥の地に住んだ。これが仁田尾左座家の始まりという。左座家主従はこの地に勢力を張り、加藤清正の頃に地頭職を務め、細川の時代は家臣となり、この地が幕府直轄地となった折には、大庄屋の待遇であった。

 なお、弟千代丸は菅次郎と名乗り矢部郷に住んだが、後に兄の勧めで近くの樅木に移り姓も左座に改めた。

 左座家では、生存中は菅原を名乗ることをせず、無くなった後に墓石に菅原と左座の名を刻むという。現在の当主は第47代とのこと。

〜泉村作成の観月会案内文より要約引用〜

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席に案内された

 観月会そのものは参加費無料、摘み草や料理体験から全てのイベントは、どの時点から参加してもよいとの事。左座家の見学料(200円)だけで参加することが出来る。

 その上、遠来の客とのことで上座に通された。目の前には左座家の御当主である左座力男氏がいらっしゃる。供物の祈りは肩の痛みで交代したが、84歳とは思えぬほど矍鑠となさっている。

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月を見てないぞ

 十五夜を2日過ぎたこの日でも、平地なら20時前には月が出てるが、急峻な山に囲まれた左座家の庭では、月の22時過ぎになっていた。昨年は旧暦8月15日に開催したので、お月様の明かりで綱引きが出来たが、今年は曜日の都合で遅らせたので、月の無い観月会となった。

 御当主のお話の中で、左座家のご婦人は旧暦8月23夜の月を礼拝して病を癒すとのこと。二十三夜の月といえば月の出は平地でも深夜12時頃となる。この地での時間差を考えると午前2時過ぎの礼拝であろう。

 今年で言えば9月18日の深夜というか、19日の早朝となる。今夜の月が遅いなどとは、とてもいえない。

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