石炭の島、池島を訪ねて

 長崎市と合併した外海町の沖に浮かぶ石炭の島、池島を久しぶりに訪ねてみよう。(01/28/2009)

 池島に渡るには外海町の神浦港か西海市大瀬戸町から渡るのが便利だ。今日は神浦港からフェリー大島にお世話になる。ジムニーは運転者込みで往復3,580円。

 フェリーは30分も掛からずに、池島港に到着。この港は、本は鏡池という池で有ったが、開削して港湾として利用されるようになり、往時には年間120万トンの石炭を積み出していたという。

 移動スーパーの販売車と共に上陸して港近くの集合住宅街を抜ける。まだまだ住民は沢山いらっしゃる。そういえば、ここには「みなと亭」という名前で一室を、帰島した人たちに集合場所に提供してあるそうだが、今日も二人ほど前に居たが?

 その裏の共同浴場をのぞいてみる。松島工業所の撤退で企業の淡水化施設に依存していた水道も、今は外海町から海底送水管で給水されている。その工事の前に何度か訪れた池島。

 風呂が使えるかのぞいてみたら、夕方4時からの利用のようだ。炭鉱が生きていた頃は何時でも誰でも入れて居た様に記憶しているが、今は、そうは行かないのだろう。

 海沿いの道に周ってみよう。コミュニティバスとすれ違って、郷地区に入る。この周辺だけが一般の民家が立ち並ぶ。

 ここに指定文化財の池島小番所跡がある。

 一旦戻って、高台に上がる県道に乗る。島を小さく一周する県道の整備状況は良い。正面のプラントは旧池島発電所だ。

旧池島発電所

 上りきる手前に行政センターがあり郵便局も健在。すぐ向かいの閉鎖された集合住宅は寂しさを誘うが、同じ閉山した炭鉱の島といっても端島とは違う。

 食料品小売センターにも買い物客が居るし、さっき波止場近くの住宅内で販売を始めていた移動販売車にも買い物客が集まっていた。

 食料品小売センターから池島小中学校にでて、その裏手の池島神社に上がって見る。古い歴史を持つ地元の神社を吸収合併したような印象がある神社だが、その鳥居には、白山比盗_神社の束額が残っている。

 神社の境内から展望台のようなものが見える、さっきまで居た共同住宅の団地の上のようだ、そちらにも登って見よう。

 展望台の手前には、昭和49年に建立された、池島炭鉱殉職者の慰霊碑が建っていた。周辺は草ぼうぼうだが、慰霊碑の周辺だけは草刈がされ聖域が保たれている。今も訪れる人が多いのだろうと伺える。

 展望台からの眺望は良い。上陸して最初に訪れた小番所跡から、十町ほど南に上ったところに遠見番所が有ったそうだが、この展望台辺りの事だろうか?

 疑問を残しながら、県道に戻って最高部を越えていくと、左手に新しい施設が見える。三井松島リソーシスの炭鉱技術研修センター。ベトナムやインドネシアから年間90名程度の研修生が来ているとか。

 炭鉱の島の新たな炭鉱施設といえるだろう。そうそう、三井松島リソーシスといえば、第二立坑にも入れる炭鉱体験ツアーも実施している。

第二立坑
(島の南西端にある第二立坑)

 更に下って港に下りると、竜神の祠がある。竜神様の左手には恵比寿様も祀られていた。

 港に戻ってみると、高速船の「れぴーど」が入港してきた。車で来ないなら、この船にも乗りたい。暫くして往路に乗った「ふぇりー大島」の姉妹船、「フェリー西海」が到着。

 海底送水管の建設前に仕事で何度も通った池島。久しぶりに訪れた池島は再生の息吹を感じることが出来た。

長崎県長崎市外海町神浦江川郷
西海沿岸商船 神浦 岳本代理店
0959-24-0313

長崎県長崎市池島町
西海沿岸商船 松島 古里代理店
0959-22-0262

石炭の島【池島】上陸ツアー

予約申し込み先

長崎県長崎市池島町1411-1
三井松島リソーシス椛フ験学習予約受付係
0959−26−0888

池島小番所跡

 解説板によれば、江戸時代の寛永16(1639)年、幕府は海外渡航と渡航者の帰国を禁止した鎖国令により鎖国制度を完成した。

 外海地方は、外国船や抜け荷の監視の要地であったため、幕府は、戸町、福田、三重、神浦、瀬戸、中浦、面高に番所を置いていたが、正保元年に鎖国制度の強化のため、式見、黒崎、池島、松島、江の島、平島、崎戸、大島、吹切の九ヶ所に番所を増設し、併せて「外海16ヵ所番所」となった。

 池島小番所は、正保元(1644)年に設置された小番所で、最初は五月から夏のうちだけ番所に勤め、九月にオランダ船が帰航してから引き上げていた。

 その後、唐船が沖で抜け荷をしていた事件があってから、年中、番士が居るようになった。

 小番所屋敷は十間に四間の広さで建物は一間に六○(十一坪)の瓦葺、番士一人に足軽一人がいた。番所には、弓一張、空穂(うつぼ)一穂、鉄砲二挺と三つの道具が供えてあった。番船三隻、三丁魯船一隻を置いた。

 遠見番所は、小番所から南へ十町ばかり上にあり「夏は野母、樺島、北は江島、平島、西は五島沖を見申す也」と大村記にある。

〜外海町教育委員会。一部判読不能の箇所があった。

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