新上五島町を訪ねて(弘法井戸・鹿の日島)

 新上五島町には定期的に来ているが、昨夜の不摂生が原因か、朝からの仕事は不調。巧くいけば夕方しか帰れないので、船は最終便を取っている。予約を取り替えて早く帰社しても支店長の顔は見たくないので、船の時間まで弘法井戸と鹿と石塔群で有名?な日島を訪ねてみよう。(09/12/2007)

この井戸と間違えそう

 終わってしまった仕事のことは忘れて、まずは腹ごしらえ、「竹酔亭」の定食を頂く。五島うどんの名で販売展開をしているが、昔からのファンにとっては「有川うどん」の名前のほうが馴染みが良い。まぁ旨いから文句は無いのですが。さて国道385号を南下して今里トンネルを過ぎたら右手の集落、道土井に下る。港湾沿いの新道ではなく裏手の旧道を行くと「弘法井戸」の看板が見える。集落の間の道を上がっていくと正面に古い井戸が見える。この井戸かと覗き込んでいたら、近くの畑で農作業をしていた奥さんから声がかかる。

 「弘法さんの井戸なら、それは違うよ」とおっしゃる。なるほど青い案内看板の右手に南無大師遍照金剛の石塔が立って、その奥に低い井戸が見える。深さはせいぜい60cm程の深さしかないが、この井戸が枯れないという。

 案内看板によれば「一人の僧が托鉢に廻って道土井のある家に立ち寄り、「水を一杯飲ませて下さらんか」と所望された。家の老婆は「ちょっと待ってください。すぐに汲んで来ますから」と柄杓と水桶を携えて家を出ていきました。僧は帰りを待っていましたが、なかなか帰らず、ようやく帰ってきた老婆の「さあどうぞ」と水を差し出し水を飲まれた後、あまりにも永く待たされたのを不思議に思い、水汲みの場所を尋ねられたそうです。老婆は「実はこの近くに井戸が無いので、この山の中程にある湧水井戸まで汲みにいかねばなりません」と答えたところ「そんなに遠い所まで行くのは大変難儀なことでしょう。この近くで水の出るところを私が探して進ぜよう」と言われて、杖で家の周囲をあちこち探されました。「ここを掘りなさい。必ず水が出るはずだ」といって立ち去りました。後日掘り当てたのがこの「弘法井戸」と伝えられているのです。

 延暦23年(804年)第16回遣唐使船の一行で、空海・最澄が青方港に一週間滞在している。このため青方、相河、三日ノ浦、道井戸、今里方面では「空海伝説」が多く語り継がれている。

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 僧に水を差し上げたのは、この井戸の敷地内のお宅で、数年前までは子孫が住んでいたとか。数年前に大阪の方に行かれたとかで現在は無人。近くの方が守をされている。

 国道を南下して右折、若松大橋を渡って支所の手前から西に向かい、漁生浦島、有福島を経由して日ノ島に向かう。目的は日ノ島の入り口の砂洲にある日島石塔群を見るためだ。中世からの古墓が林立する姿に遣唐使や倭寇の時代をたどっていると、1kmほど先に釜崎宝筐印塔が有るというので島の集落に入ってみた。

 集落の日島神社に参拝すると、境内に数等の鹿達の姿が見えた。里の中でノンビリと草を食んでいる鹿は人に慣れているが、山側に居る鹿は人を警戒する野性味がある。

Mapion

 研修宿泊施設も有るようだが、何処まで一般観光に開放されているかは未確認、こんなところで一日を過ごすのも悪くないだろう。さて、鯛の浦まで戻るとするか。


 昨夜、お世話になったのは、馴染みの「和風ペンションし喜」さん。一階は居酒屋風の食事処だから、飲むのも食べるにも不自由は無い。お気に入りの宿。

新上五島町有川郷700番地1
和風ペンション・ビジネスし喜
0959-42-2465
22室(40名)宴会場(30名)
6,000円〜(1泊2食、税込)

新上五島町浦桑1396-1
竹酔亭 カミティ店
0959-54-2414

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