ようこそ至福の秋。福島市モニターツアー(一日目)

 福島原子力発電所の事故によって震災・津波を上回る影響を受けている福島県。その中でも比較的被害が少ない福島市。同じ「ふくしま」の名を冠するからこその風評被害があっているようだ。マスコミの報道だけでは判らない現地の普通の人の素顔を見て本当の「今の福島市を知りたい」そんな思いがある中で「福島市モニターツアー」の参加募集記事を目にした。これは応募するしかない。(10/29-31/2011)


(羽田空港から福島交通さんのバスに乗り込む)

■福島市に到着して

 3月11日から8ヶ月。本当の福島はどうなんだろうかとの思いを胸に福島交通のガイドさんの話を聞いていた。福島市内に入ると棟瓦の崩れた家屋は散見されるが見た目には大きな被害は判らない。

もち処「木乃幡」に到着

 到着するとすぐに「九州のもち吉さんには大変お世話になってます」といわれる。聞けば木乃幡さんは福島第二原子力発電所から20km圏内に本店があり生産設備が使えないため事業継続が危ぶまれたそうだが、その時に同業者である「もち吉」さんが、「うちで出来る事なら」と申し出て工場加工部分を代行しているそうだ。

 ただ九州から来ただけの人間にまで礼を言われる。九州人としては嬉しい話だが、それほど原発事故の影響が震災後の復興に足枷に成っているという事だろう。試食に頂いた「凍天(しみてん)」は大変美味しく土産にしたいと言うと「日持ちがしませんので「もち吉」さんでも発売しましたから」と言われる。

穴原温泉吉川屋さんが今夜の宿

 甘い凍天を頂いたのに何だかホロ苦い思いをして今夜の宿の穴原温泉吉川屋に到着。ここは飯坂温泉の奥座敷である穴原の地に天保年間から営業を続ける老舗宿。

 設備も勿論すばらしいがスタッフの対応が気持ちい。対応といえば迎えてくれた中にマンガも描ける「吉川屋七代目」の顔も見えたが、この若旦那は自分の店のことは勿論だが地域の発展あっての家業ということを理解されているのだろう飯坂温泉・穴原温泉・吉川屋等のワードがtwitterのTLに現れるとタイミング良くフォローをされている。

 こういう姿勢が七代目に名指しで予約が入る所以だろう。

 話がそれたが吉川屋さんでのこと。女将さんから歓迎のご挨拶を頂いた後に、福島市の観光課の方から「皆さんが福島市のツアーで見たとおり感じたままを良い事も悪い事もそのまま伝えてください」と今回のモニターツアーの趣旨説明があった。何時ものとおり見たまま感じたままを綴ることにしよう。

 夕食時から少し時間を遡って部屋を案内された時のこと。

 部屋割り表は車中で受取りキーは部屋に置いてあるとのJTBさんのスタイルで11階の1133号室に入る。8人部屋かと思うほどの広さ。こんな良い部屋が準備されているとは思わなかった。それともこれが吉川屋さんのスタンダードな部屋なんだろうか?客室係りに尋ねたところ新館(凌雲閣)の4〜11階すべてこの広さだそうだ。

 宿の配慮といえば浴衣のサイズ表示も良い。浴衣の伊達襟の色でサイズが表示されていて参考寸法の添え書きもある。お陰で試着の手間も要らない。

 そうこうしているいちに家内は部屋でパッチワークを始めたので、わたしは早速温泉へ。ちょうどチェックインのピークの後で夕食前の時間帯。広い「弁天の湯」も賑わっている。湯は万人受けする弱アルカリ性の単純泉。これだけの大施設だから掛け流しとは行かないのは当然のこと。十分良い湯だ。

 湯から上がって4階の天翔の間で夕食。えらく立派な料理が並んでいるので聞いてみると「季節の料理」で普段の通りだという。普段私たち夫婦が泊まる旅館では最高レベルだな。

 食事を堪能して家内は部屋へ私は坂を下った奥十網橋の手前に在る穴原温泉天王寺穴原湯に向かう。やっぱり共同泉に立ち寄りたいのは本能?

 集会場のような佇まいの裏手が入り口。湯船は小さめの定員5名?程度。先客に挨拶して掛湯をするが結構熱い。湯の熱さでは定評のある別府八湯温泉道の名人から見ても熱い。45度は超えている。地元の先輩方の手前があるので無理して浸かる。ほのかな硫黄の香りも良い。

 吉川屋の浴衣を着ていたので、「吉川屋に良い風呂があるだろうに」と声を掛けられたので「町湯の共同泉が好きなんですよ」と返事をしてから「ここは良い湯だ」というと、そうだろうと頷いてくれた。

 こんなふれ合いが楽しくて共同泉周りをしているのかもしれない。


(写真は翌朝の散歩時のもの)

 さて、翌朝のこと。3階のコンベンションホールでバイキングを頂く。もちろんラジウム玉子が迎えてくれた。出来の良い温泉玉子は普通に割ってもツルンと中身が出て来て楽しいのだが、割って出汁に浸かっていたのでやや不満。家内に言わせれば「温泉玉子を割らずに出す宿のほうが珍しいよ」との事。私は宿で温泉玉子を食べることのほうが珍しいのだった。

 そうそう、ラジウム玉子は飯坂温泉の商標登録。放射線のラジウムが飯坂温泉に含まれている事にちなんで命名されたそうだが時節柄か勘違いする人もいるそうだ。

■宿の周辺で朝の散歩

 朝食が美味しくて少々食べ過ぎたので朝の散歩に出てみよう。たわわに実ったリンゴを見ながら昨夜お世話に成った共同泉の前を通って奥十網橋を渡る。途中で振り返って見ると穴原温泉の全容が見渡せる。

 お世話に成っている吉川屋さんの駐車場は一杯だが周辺の宿に活気がない。昨夜は穴原温泉の客足は心配無いのだろうと勝手に思っていたが周辺の宿はそうでもないようだ。

 そんな事を思いながら奥州三十三観音霊場十一番札所の臨済宗香積山天王寺に向かって歩く。天王寺は第三十一代用明天皇の開基と伝えられ当初は天皇山天王寺と呼ばれた古刹。後には飯坂氏の菩提寺でもあり、訪れようとしている観音堂は天正年間に伊達照宗が建立し本尊は恵心僧都作と伝えられている。

 立派な山門の前を通って右手の観音堂に向かう別の道に入る。途中にボケ除け延寿観音が鎮座して有るが今のところは用は無い。(そろそろかも?)

 観音堂の右手には大きな公孫樹が有るが天王寺の大公孫樹と言うそうで、別名「なきイチョウ」と呼ばれ時として無風でもギギーと音を立てるとか、運が良ければ聞けるかもしれないとのこと。

 さてさて観音参りをしていたら思ったより時間を取ってしまった。9時には今日のプログラムが始まる。急いで宿に戻るとしよう。

福島市モニターツアー二日目に続く>>

JTB九州(旅物語センター)企画・実施予定の概要

(一日目)

福岡空港〜(ANA246)〜羽田空港〜バス(車中昼食)〜もち処「木乃幡」〜穴原温泉吉川屋
(10:05)          (11:45)              (16:30)       (宿泊)

(二日目)

「ふくしま花の案内人講演」〜バス〜医王寺〜バス〜堀切邸〜飯坂温泉散策〜バス〜
於:吉川屋にて (10:00)               (11:15)   自由昼食(13:00)

             〜福島くだもの狩り〜バス〜四季の里〜バス〜高湯温泉旅館玉子湯
              (13:15)           (16:00)       (16:30)

(三日目)

旅館〜バス〜常磐吾妻スカイライン〜土湯温泉源泉探訪ツアー〜バス〜羽田空港〜
                       (10:00)                (17:30)

             〜(ANA269)〜福岡空港(流れ解散) (ツアー料金¥5,000円)
                      (21:00)

■福島民報の紹介記事を見つけた

 記事のリンクもしているが、リンク先が切れるといけないので記事の内容をコピーておく。

風評被害払拭へモニターツアー 九州などから募集
 福島市は、九州と大阪、首都圏の各地区の、ブログやツイッター利用者ら計160人程度を対象にモニターツアーを実施する。市内の状況を知って情報を広く発信してもらうことで、福島第1原発事故の風評被害で観光客や団体旅行者が減少している現状の打開を目指す。
 ツアーは2泊3日の予定で、参加者は飯坂、高湯、土湯のうち2温泉地に1泊ずつ宿泊、市が宿泊費と交通費、各種体験費用を負担する。参加者には、訪問の印象や感想などをブログなどの各媒体を通じてさまざまな角度から発信してもらう。
 第1弾となる九州発着のツアーには、定員30人に対し250人を超える応募があった。参加者は29日から市内に滞在し、飯坂町の散策やリンゴ狩り、土湯こけしの絵付け体験や土湯温泉源泉探訪などを通して地元の人との交流や福島の魅力発見を図る。

(2011年10月26日 福島民友トピックス)

モニターツアーで予定している土湯こけしの絵付け体験

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