熊本県肥後の石工の里緑川地区を訪ねて

 残暑厳しい折、秋の訪れを求めて肥後の石工の故郷である緑川一帯を訪ねてみた。この地の石工集団の一つ種山石工の祖と言われる藤原林七は、青年期を長崎奉行所に勤め石造アーチ橋のヒントを掴んだとされる。長崎に縁のある地を訪ねるのは楽しい。(09/13/2003)

通潤橋の放水

 初日の目標は家内に通潤橋の放水を見せること。土日祝日の12:00から放水が有ると聞いていたので、諫早インターを08:00に乗って鳥栖から九州道に入り、御船インターを降りたのが10:30だった。

下鶴橋  門前川橋に心を惹かれながらも時間が気になって寄り道をせずに、国道445号線を走っていたら、左手に大きな橋がある。名工橋本勘五郎・弥熊父子によって明治19年に架橋した下鶴橋だ。

 橋長23.6mの堂々たる石造アーチ橋の袂には囮鮎を入れた籠が据えられてあった。

 欄干に刻まれた徳利と杯。今夜は鮎で一杯とか妄想を広げながら先を急ぐ。

 八瀬橋もパスして走るが、国道脇の金内橋には足を止めた。

 御船川の本流を跨ぐ大きなアーチと、すぐ上流の福良井手からの水路を跨ぐ小アーチの変形二連橋の姿は素晴らしい。

 下手の水路橋である立野橋に向かおうとすると、家内から声が掛かる。

 通潤橋の放水が気になるようだ。夕尺橋もパス。

 矢部町の中心市街地に入り、道の駅通潤橋に着いたのが11:40、ちょうどよいタイミングで到着できた。街中には先週の八朔祭りの大造物が並んでいて雰囲気が伝わってくる。

 ダイナミックな放水を楽しんだ後は、道の駅でお買い物(マーマレードや山葵漬け)と昼食。1,000円也のお勧めの定食は、揚げ出し豆腐の付け合せの素上げした茗荷と、葱を刻んだ蒟蒻の刺身が特に美味!

夕尺橋聖橋男成橋

 食後は午前中の道を戻って、さっきパスした夕尺橋を見に行く。再度矢部町中心街を抜けて聖橋を通過して男成橋経由で清和村文楽邑を見学。ここでも奥さんは、お決まりのお買い物(かぼちゃに燻製に味噌漬け豆腐)にはまる。

霊台橋  国道218号線で、いったん矢部町に戻り砥用町に向かう。もちろん目的は日本最大の石造単アーチ橋、緑川本流の最大の難所船津峡に架かる霊台橋を見る為だ。

 橋長約90m径間28.36mの堂々たる石橋は、弘化4(1847)年に僅か6ヶ月の工期で架橋したという。

 左岸下流の食事処「石橋の里」が気になるが、まだ空腹ではないので横目で見ながら国道を走る。

大窪橋  やや走って中央町に入る頃に左手に見えるのが大窪橋。国道からもよく見える大窪橋はファンも多い、なかなか味わいのある橋。

 嘉永2(1849)年架橋の上反りの大きな橋は桜の頃が素晴らしいと聞く。またその頃にも訪れてみたい。

 中央町からは、国道443号線を東陽村に向かう。目的地は石匠館だ。

 国道443号線に入ってすぐ、左手に沢無田橋があった。泉村に入ると谷の下にこが橋を望む。東陽村に入って右側に石匠館が見えてきた16:00に到着。

沢無田橋こが橋石匠館

 石匠館の係りの方に今夜の宿を訪ねると、五家荘のパンフレットを渡してくれた。電話をしてみると「観月会がありますから是非お出でなさい」とのことで、今夜の宿が決まった。

支保工重見橋

 大きな石組みの支保工や屋外の展示物を楽しんで、石橋公園に重見橋を見に行ってみる。明治10年に架橋され、新しい橋を架ける際に移築されたというが、もともとが端正な橋だけに公園橋としてみてもしっくりくる。

 さて18時からは、五家荘の観月会だ。 観月会もつきあいますか? それとも翌日の石橋探訪ですか?

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